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終生飼育と適正飼育

アメリカに戻り2ヶ月、長々と書いてきましたが、
今回最終回(多分)!


1:動物福祉を根っこから変えるのに大切なこと
2:法律という共通語
3:動物を守るための法律が
4:神奈川県の動物保護センター見学

・・・・・・・

今回の帰国で動物福祉に関わる活動家さん、学生さん、
政治家さんや行政関係者の方にお話を伺って印象的やった事があります。

ひとつは「蛇口を閉めたい」と言うお言葉。

この言葉、ほんとーーーに良く聞きました。
「もしかして日本全体で流行ってる言葉なんかな」と思うくらい。

「蛇口を閉める」とは、
保健所に持ち込まれる動物を減らすってことで、
日本では終生飼育が法律で確保されました。

でもアメリカでしか活動をしていないウチにとっては、
実はこれにすんごい違和感があって、
「最後の受け皿である保健所がそう言う形で蛇口を閉めたら
別の、目の届かない場所で動物があふれてしまうんじゃないの?」
って。

なので「保健所と言う蛇口の閉め方のアイデア」を
たずねられた時はごめんなさい、答えられませんでした。
そんなアイデアがはなっから頭にかったのと、
どうしてもウチには不幸な動物を減らす根本的な解決に思えなくて。

あと小心者で肝心なときに意見が言えないのもあるんです、
特にアウェイで!
なので自分のブログなら書けちゃうんですが・・・・。


アメリカでもシェルター(保健所)が満杯で
収容されない動物たちが不幸な末路をたどることは、
「動物を守るための法律が」で書きました。

実際に日本でもペットの繁殖や販売業者さんから、
犬猫を下取りするような職業も出来たようですし。

もともと日本は迷子ペットについで
繁殖に使われた犬猫の大量持ち込みが
保健所の収容数を増加させている原因のひとつでした。

おそらくこの終生飼育の法律はそのような繁殖家さんを
取り締まるための目的もあったんと思うんですが、
そのために「引き取り業者」さんみたいな違う受け皿を
生んでしまう結果になったような。

それ以外にも知り合いの活動家の方は、
この法律が出来てから繁殖家さんからの相談が増えたそうです。

繁殖の協力なんかしたくない、でも断ったらその犬猫たちはどうなるかわからない。
仕方なく大量の犬猫を繁殖家さんから引き取るようになり、
犬猫たちは社会化も出来てないし、病気がちな子が多く、
新しい家族が見つかりにくいそうです。

繁殖家の人は契約書にサインはしますが、
しばらくするとまた繁殖を始めて1,2年するとまた
他の団体さんに泣きついてきて堂々巡り。

こんな活動では動物を救っているのか、苦しめているのかわからないと
心を痛めていらっしゃいました。
(このことはまた別の機会にブログに書きたいと思ってます)

もちろん個人の飼い主さんの意識を高める効果なども
法律が改正されてあったと思うし、悪いことばかりじゃないと思います。

でも蛇口を閉めるということと、
保健所が受け入れ窓口を閉めることは違うと思います。

蛇口を閉めるというのは
人の意識を変える何かきっかけで、
その結果収容動物の数が減ったということでないと、
問題の根本解決にはなってないんじゃないかな。

ウチが思うに終生飼育の確保を法律に加えるなら、
適正飼育も加えたほうがいいんじゃないかなぁと思います。

日本とアメリカでは環境が違うので、
すべてが通用するとは思いませんが例えば、

・散歩中のリードの長さ、
・外飼育の時の環境
 (リードの長さ、重さ、水や日陰の確保、外に出していい気温)
・犬小屋や飼育する時のケージの大きさ
・子犬子猫の社会化期の確保
・1家庭で飼育できる犬猫の頭数を決める


こう言うことを”だいたい”ではなくて
具体的な数字で決めてしまう。
※悪いことをする人をきちんと取り締まり、罰することも簡単になります
http://dearpaws.blog.fc2.com/blog-entry-470.html

こうすることで動物たちは健全な暮らしをある程度確保されます。
犬や猫として、心身や本能的に必要な部分を満たしてやると、
病気になりにくかったり、問題行動が少ないとか、
人や新しい環境に慣れやすかったりします。

そうすると万が一の時、
新しい飼い主さんが見つけやすくもなると思うんですよね。

なので現段階ではウチの中で蛇口を閉めるというのは
適正飼育の情報や教育を豊かにして周知し、
法律でそれをきちんと数字として表記することじゃないかなと思います。

それでもきっと法律をすり抜ける人っているんですけどね。
でも先に終生飼育を義務化して、
表面的に保健所の収容動物数が減った、じゃあほかの法律はいらないねってなれば、
余計にそう言う業者さんや、
動物虐待をする人の隠れ蓑が増えるだけですよね。


本当に不幸な動物を減らすためには
まだ日本の法律を補正しないといけないと思います。
正直、ウチの住んでいる州に比べると
日本の動物愛護法ってまだまだザルみたいな印象を受けます。

でも、もしアメリカでおんなじことやってたら、
日本の現状よりはるかに最悪になってると思う。
そう考えると、やはりウチら日本人って根っこの部分が、
まじめで愛情深いんやろなーって思うんです。

だから日本は動物福祉でも必ず良くなる、そう信じてる。

動物福祉の最終目的は人と動物の平和な共生です。

終生飼育という目的地に続く道が適正飼育、
その道にある道しるべが法律なのではと思います。
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プロフィール

Dear Paws

Author:Dear Paws
ライター&イエーな主婦&大学生
米国メリーランド州ボルチモア在住。シェルター(保健所)収容動物の引き取り&スラム街でのTNR(地域猫)活動など、アメリカで犬猫レスキュー活動中☆HSUS認定のEMERGENCY ANIMAL SHELTERING TRAINING(災害時動物支援&救援トレーニング)修了(2009年)。米国動物福祉NPO団体「Sunshine Smile」創立(2010年)。メリーランド神奈川県姉妹州委員会動物福祉コミッティ委員長(2013年)。記事や写真の転写&転載はお断りしています。リンクはフリーです☆

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名:ひなた(犬)女の子.享年15-18歳
シェパード&チャウなどイロイロMIX。
08年、WV州で保護され我が家にやってきた野良ワン。食べる時以外はほとんど座布団化してる究極の寝犬。見た目のわりに気が小さく、生後3か月のフォスター猫にも先住犬のポジションを奪われる。モーレツな肉球臭を発生中! 2018年8月逝去。

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